EXWのチラ裏

遊戯王マスターデュエルチームEXWメンバーが気ままに書くブログ

「ランクマッチのレベル感」に対する誤解

書いた人: potato4d

※ 今日話すことはマスターデュエルを取り巻く観測可能な世界での雰囲気の話であり、特定のなにかに対する言及ではないことをご留意ください

マスターデュエルのプレイヤーが集う場所(SNSやDiscordなど)では毎日のように「ランクマッチのレベルが低い」「ランクマのお友達」などの表現を見かける。
マスターデュエルのランクマッチは(現時点ではマスター1となる)最高ランクが存在し、それが毎月の定常ゴールとなってしまってその先はない。

例えばポケモンであればランクマッチはマスターランクに到達するとレート戦が開始し、明確な順位などが表示されるが、DCなどの特定の期間を除けば「マスター1」でゲームから提供されたプレイ環境の変化は打ち止めであり、それ以上はルームマッチや大会で環境を変えない限り、どうしても玉石混交となってしまうことは事実である。

一方で、ここで一つ不思議な事実がある。それは「ランクマッチのレベルが低い」といった表現をしている人が、必ずしも全員が毎シーズン最高ランクに到達しているわけではないということ。レベルが低いと感じるのであれば、本来は大きく連勝できてスムーズに上がりきることができても不思議ではない。TA形式となっておりどんどん強者とのマッチングのみになる月初ランクマと違い、毎月数日が経つとすでに道中も練度はバラバラ、むしろ月初に上げきるほどモチベーションの高い人とマッチングしない状態となっているため、比較的難易度は低下しているはずだ。

実際私は以前個人のnoteで紹介したように環境外デッキで毎月前半に上げ終わっているが、環境外デッキであっても(勿論事故などもあるので配牌の振れはあるが)おおむね2ランク程度は連勝でストレートに上がることもある程度だ。そうなると一般的な環境上位を使っていると、そこまで苦戦するほどのものではないというのは事実だろう。

ではなぜそのような状況下で最高ランクに到達しないのか。あるいは、最高ランクに至るまでプレイしないのか。それは「レベル感」と「メタゲーム」を混同している、あるいは誤解しているために生じているように感じられる。

ランクマッチを上げきらずにランクマッチの批判をするような例の中で「ランクマのプレイヤーが使ってくる変な捲り札に負けるのが耐えられない」といった話はよく見るだろう。

壊獣、ラヴァ・ゴーレム、球体形のようなリリース除去や拮抗勝負などの発動条件の厳しい捲り札などは印象に残りやすいが、特に「先攻で引いた場合に必ず腐るカード」によって自分の盤面が突破されたというのが大きなストレス要因となりうるのは事実である。それが例えば「スモールワールドの中継点として有用」などの合理的な理由が含まれていない場合は特に。

ただ考えてみてほしい。「ランクマのプレイヤーは壊獣を使ってくる」と発言しているということは、少なくともその人から見えるランクマッチは「壊獣が標準搭載されているデッキが当たり前の環境」であるはずだ。

例えば現環境でトーナメントシーンを勝ち抜くと思ったとき、特殊召喚するデッキが「増殖するG」が入っていることを考慮しないケースはあるだろうか?あるいは「烙印」と対面していて「烙印融合が入っていない」と思って動くことはあるだろうか?テーマカードにしろ汎用カードにしろ、プレイしていて一般的に採用されているカードの様子はまさしく「メタ」であり、個々のプレイヤーがどこまで熟考してそれを採用しているかなどは関係なく、「壊獣が当たり前に存在する世界でメタが回っている環境」ということが事実なのである。

となるとどうなるか。それは対策をしていないほうが悪いという結論が自然ではないだろうか?特殊召喚を連発するがLOできるわけでもなく、Gの止まりどころが優秀でもないデッキがうららと指名者を採用するのと同じように、その環境において一般的なメタカードへの対策は必須であろう。

何も生贄封じの仮面を採用しろと言っているわけではない。捲り札に強い盤面を作る、作れないなら他のデッキを握るなどが正しいだろう。例えば壊獣ライスト拮抗勝負を相手が持っていても、九支神撃サベージバロネス+αが当然超えられないわけである。捲られるのがストレスならボウテンコウを出していれば良い。

もしかしたら一見して合理性を欠くように見える対面のデッキやカードの選択は、そのランク帯特有のメタゲームに適合したゆえに生まれた結論なのかもしれない。

少し話は逸れるが、私は昨年末の2回のDCで同じような体験をした。予想したメタゲームの中心は烙印。そこに対して多くのデッキが群雄割拠するが、ほとんどが深淵の獣に弱いデッキであり、深淵の獣の打ち合いの消耗戦を打破できるデッキこそが勝ち馬であると踏んでドラゴンリンクを選択した。結果初日は順調。夜の開始にも関わらず銀ラインに追いつき就寝。

翌日、5連勝で勢いづくがその後敗北。そうしたときに待ち受けていたのは、安定した勝率が見込めないからデッキ選択から外れると考えていたクシャトリラだった。結果10分で3,000DPが溶ける。VSと対面して40分かけて稼げるのが1,000DP、対して無限泡影すら積めないドラゴンリンクに対して、クシャトリラは2分半もあれば1,000DPを吸い取っていく。ドラゴンリンク一本で走っていた私はクシャと当たるようになると時間を変えることしかできず、結果どちらも損切りでの敗走となってしまった。

実を言うと、私のDCはいつもそうだ。毎度毎度土曜日の夜や日曜の朝まで上位に追いつき、途中で落ちて地獄を見る。28,000~35,000DPあたりのラインまで上位に食らいつくが、極端なメタゲームを想定した結果、想定外の世界で蹴落とされる。

この結果で悪いのは誰だろうか?そう、他でもない自分である。低DP帯にクシャトリラが存在するということは十分に予想がついていたが、初速で走り抜ければあとは当たらないから序盤だけ沼ればセーフだと思っていた自分が甘かった。負けて上振れたクシャトリラとマッチすることが考慮できていなかったわけである。

ランクマッチも同じだ。自分が考える合理性と、マッチング相手の合理性は必ずしも一致するとは限らない。異なる限定合理性を持った者同士がマッチしたとき、よりその環境に適合したものが勝利する。それだけだ。もちろん、プレイによって変わる幅はDCなどと比較するとかなり大きく、一定の実力があればそれを超えうることが難しいわけではないが、採用カードで負けているならプレイの土俵に立っていない。

つまるところ「ランクマッチを上げ終わっていない状態でのランクマッチのレベル批判」は「自身の考える ideal なメタゲームと眼の前に存在するメタゲームの不一致に対する愚痴」以上の何者でもなく、それに対する問題は「メタゲームに適合できていない自身」に他ならない。

そのため、敢えて正当性がある例を挙げるとすると最高ランクまで上げきったあとに「ランクマッチはプレイの練度の差で勝ててしまうから練習にならない」という批判くらいだろうか。あるいは同じく上げきったあとに「DCとは環境の差が激しすぎるので、おそらく自分が戦うことになるであろうDP帯と近い人とマッチできるルームマッチのほうが練習として適している」も同じと言えるかもしれない。これであれば環境に適合しているし、その上でマッチングのムラというレートのないランダムマッチング特有の問題によって起こる不幸についての言及であるので論理的におかしい部分はないだろう。

逆に言えばそれ以外の批判は全くもって的はずれであり、まずはさっさとマスター1まで上げてしまってから言いたいことを言えば良いのである。

このゲームにおいてゲームが提示してくれるオフィシャルなプレイヤーとしてのランクは「ランクマッチ」と「デュエリストカップ」そして「WCS」の3つしか存在しない。

実際私は動画用にランクマッチを温存していてその道中である/新制限が来るまで待つなどの場合を除き、非公認大会に出るのは原則ランクマッチをやり終わったあととしている。

普通に普通の環境デッキを使っている分には特段難しいことはないはずなので、みんなまずはランクマッチを終わらせよう。謎の採用札がストレスに感じるなら一緒にボウテンコウを出そう。

と、年始に書いたあと記事を公開せず放置しているうちに超重が実装されて数日だけボウテンコウを矢鱈と見る羽目になるのであった。