書いた人: @potato4d
自分がデッキ構築をする上で、単純な初動のみをあまり重視していない事に気がついたので、表題の件について紹介したい。
以前 「『現代デッキ』なら2誘発は貫通したい」 で話した内容と類似する点が多いが、同じ事象を別軸から見るということをコンセプトに、今後も初動率に惑わされないために改めてここに記しておく。
初動率とは
今回はシンプルに「最低限目的となる盤面が構築できる初手が来る確率」とする。 もちろん初動の中でのグラデーションは存在するが、ここでは例えばエクセル/ポプルス/ディアベルスターはすべて等しく「初動」として扱う。
つまりは何も相手からの干渉を受けなかった場合に、妨害やリソースが伸びてデッキの動きが成立するのであれば強初動・弱初動問わずそれは等しく「初動」として扱う。
原則、初動率は高いほど良い
もちろん、初動率は高ければ高いほど良いのは間違いない。
例えば毎日CSに出場、1デュエル戦/64人のトーナメントで優勝を狙う場合、もし幸運にもすべて先攻の試合となったとしても、優勝までの5試合すべてで初動があるほうが妥当といえるためには1枚初動が13枚必要となる。1枚初動13枚のデッキの初動率は87.7%なので、1000.870.87……とラウンド数分かけていくと、5回戦目で51%となる。
ギリギリのラインではあるが、先攻の配牌だけを見るとこれで初動が来なかった場合は手札としては「下振れ」と言えるだろう(それ以前にすべて先攻をとっている時点であまりにも幸運ではあるが)。
そういった考えられるラウンド数などの実際のデュエルシーンを考慮し、必要となる水準まで初動率を高めること自体は決して間違いではないと言い切れる。
初動率と通る確率はイコールではない
一方で、であれば初動率だけが正義かというとそんなことはない。 というのも、1枚初動が13枚入っていようが、手札誘発は概ね同じかそれ以上相手のデッキに存在しているからだ。
例外こそあれど、このゲームは原則1枚初動は誘発1枚で止まるように設計されている。
そのため、1枚初動だけをいくら増やしたところで、それが初動の役割しか担うことができないカードであれば、数字通りの初動率が担保されるわけではない
最終的にギミックで勝ちきるのがコンセプトであれば、ゲームを決めるのは貫通力である
となると重要なのは「相手からの妨害を受けた上での展開成功率」であると考える。
初動率100%だけど1誘発で必ず止まるデッキと、初動率85%だがあらゆる誘発を1枚貫通できるデッキであれば、少なくとも私は後者を信用したい。
例えば同じ篝火を使うデッキを軸に比較する場合、まさにセンチュリオンと炎デッキがこの関係にあるといえるだろう。
センチュリオンの初動率の高さは目を見張るものがあるが、センチュリオンの篝火は基本的にトゥルーデアにしかならない。1枚初動のかさ増しの域を超えることができず、1枚の誘発で止まってしまうカードへのアクセス率を向上させているだけにとどまる。
一方で炎はエクセルにもポプルスにも化けることができる。初動がないときは初動に変換する。エクセルへの無効系への貫通札として活用する。炎王に召喚権を吐いて篝火を別の手数として計上すると非常に多くの役割を持つことができ、一般的な初動率自体はセンチュリオンと比較して劣るものの、展開の成功率という観点では炎のほうが優秀であるのは疑いようのない事実だろう。
このゲームの性質上、どれだけ自分の手札の再現性を高めたところで、相手の手札という不確実性はつきまとう。 その事実を考慮した場合、自分の手札単体の再現性をいくら高めたところでそれ自体は些末なことであるのは間違いないだろう。
私はこの考え方で初動にしかならないカードを減らし、組み合わせ初動や弱初動である代わりに初動兼貫通札となるカードの方を枚数を増やすことが頻繁にあり、そのせいで初動率にこだわりを持つプレイヤーから構築に対して疑問を持たれることも少なくない。
もちろん不安を覚えるプレイヤーが居る気持ちも理解するが、あくまでも重要なのは初動がある確率が高いことではなく、平均的な手札の質で安定して展開が成功することである。失われた初動率に対して向上した貫通力がそれを上回るのであれば、総合的な出力は初動率を忘れるほうが高いと言えるだろう。
終わりに
そんなこんなで今回はデッキ構築における初動率と、実デュエルにおける展開成功率の関係についてまとめてみた。
かなりプレイヤーごとに思想が分かれる部分であるという認識なので、ぜひ反対意見があればブログのコメント欄やTwitterで話してみたい。
初動兼貫通札どころか、初動として使うと勝手に貫通札になってくれるワカU4使いとサーキュラー使いの皆さんは、こっそり笑顔でブログをシェアしておいてください。
それでは。